常松愛加

ソリトンの研究を通じて、
人間の生活を豊かにしたい

常松愛加
TSUNEMATSU Aika
丸野研究室 学部4年
Q.この4月(2019年)から研究室に配属されたとのことですが、研究予定のテーマを教えてください。

ソリトンという粒子性をもった「孤立波」について研究予定です。このソリトンは、他の波と衝突しても衝突後に元の波形と速度に戻り、あたかもすり抜けたかのように直進していく不思議な波です。
シミュレーションによって、その不思議な挙動を目で見ることができますが、これは自然界に存在するものをデジタルに記述しコンピューター上で再現したものです。
自然界にあるソリトンといえば 、津波が挙げられるでしょう。地震で発生した津波の威力が衰えることなく安定に長距離を伝わるのもソリトンの性質によるものです。
この性質は光ファイバー通信にも応用されていて、 「光ソリトン」と呼ばれています。ソリトンの衝突しても崩れない粒子性を利用することで、安定した通信が可能になります。
ソリトンの研究を通じて自然現象を解明することで、人間の生活を豊かすることが研究の目的です。

Q.この研究を選んだきっかけは。

学部2年次の、応用数理概論という授業で、丸野健一先生がソリトンを紹介されたのがきっかけです。このとき、初めてこの独特の挙動を目にして、大変驚き、魅せられました。
自然現象を数学で記述できることを知ったのも、このときでした。しかもその性質を応用することによって、社会の役に立つことができる。
こんな面白いことはないと思い、この研究を選びました。

大学の数学は、より厳密なもの
苦手な分野にも、食らいつく根性が必要

Q.大学と高校の数学の違いはどんなところにあると考えますか?

大学の数学では地道な努力の積み重ねが全てを制します。
私が通っていた高校はSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)でした。SSHとは文部科学省によって認定された、理系教育を重点的におこなう高校のことです。
暗号化のような、普通の高校では扱わないような、難しい分野を学んでいたと思います。大学の数学を先取りしていると思っていました。
しかし、実際に大学に入ってみると、高校の数学とは別物だということがわかりました。参考書の一行を理解するのに苦労する時もあるほどでした。
高校では勘で計算しても正解を導けることもありますが、大学ではより厳密な論理が求められます。結果よりも、そこまでのプロセスをしっかりと理解していなければ、より高度なものには対応できません。「解く」ことが目的の高校数学とは全く違います。
ですから、ひとつわからないことを放置してしまうだけで、理解が追いつかなくなってきます。苦手な領域にも食らいつく根性のようなものが必要かもしれません。

Q.これからの抱負をお願いします。

修士課程に進み、将来は研究職に就きたいと考えています。まだ業界など詳しいことは決めていませんが、「数学を学んでいれば全ての分野で通用する」といいますから、活躍できるところならどこでも飛び込んでみたいです。数学で社会に貢献できたら、これほど嬉しいことはないですね。